﻿1
00:00:33,750 --> 00:00:41,491
♬～

2
00:00:41,491 --> 00:00:44,827
<日本の首都 東京｡➡

3
00:00:44,827 --> 00:00:48,164
かつて 江戸と呼ばれていた この地は➡

4
00:00:48,164 --> 00:00:54,464
ほんの400年前まで
過酷な自然に覆われた荒野でした>

5
00:01:07,850 --> 00:01:13,656
(家康)これが 江戸か｡

6
00:01:13,656 --> 00:01:30,006
♬～

7
00:01:30,006 --> 00:01:33,009
(忠勝)おのれ 秀吉め｡➡

8
00:01:33,009 --> 00:01:35,812
我らを このような地へ追いやるとは｡

9
00:01:35,812 --> 00:01:39,148
(直政)
ここは 人の住む場所ではござらぬ｡

10
00:01:39,148 --> 00:01:43,486
殿 せめて 小田原になさっては｡

11
00:01:43,486 --> 00:01:46,155
気に入った｡

12
00:01:46,155 --> 00:01:48,825
わしは 決めたぞ｡

13
00:01:48,825 --> 00:01:54,163
この江戸を いずれ 大坂と並ぶ➡

14
00:01:54,163 --> 00:02:00,163
いや 日ノ本一の城下にしてみせる｡

15
00:02:03,506 --> 00:02:07,376
この荒れ野をでござりまするか？

16
00:02:07,376 --> 00:02:10,847
そうじゃ｡

17
00:02:10,847 --> 00:02:14,517
そのためには まず➡

18
00:02:14,517 --> 00:02:18,187
水を制さねばならぬ｡

19
00:02:18,187 --> 00:02:30,199
♬～

20
00:02:30,199 --> 00:02:32,134
(藤五郎)うん｡

21
00:02:32,134 --> 00:02:37,006
水を制すとは
どのようなことにござりまするか｡

22
00:02:37,006 --> 00:02:39,809
まず第１に➡

23
00:02:39,809 --> 00:02:47,483
この地に水害をもたらす
川の流れを変えることじゃ｡

24
00:02:47,483 --> 00:02:49,483
その役目…｡

25
00:02:53,823 --> 00:02:55,825
伊奈忠次に命じる｡

26
00:02:55,825 --> 00:02:58,160
伊奈殿に？

27
00:02:58,160 --> 00:03:00,860
(伊奈)はっ｡

28
00:03:02,832 --> 00:03:05,735
そして 第２に➡

29
00:03:05,735 --> 00:03:11,507
最大の難題は 飲み水じゃ｡

30
00:03:11,507 --> 00:03:16,178
人が生きていく上で 欠くことのできぬ
清き水を➡

31
00:03:16,178 --> 00:03:18,848
いかに得るか｡

32
00:03:18,848 --> 00:03:24,720
それができて初めて
人々の暮らしは潤い➡

33
00:03:24,720 --> 00:03:28,524
町は大きくなるのじゃ｡

34
00:03:28,524 --> 00:03:52,824
♬～

35
00:04:05,161 --> 00:04:08,064
(長安)殿 江戸の町づくりに欠かせぬ➡

36
00:04:08,064 --> 00:04:10,032
飲み水探しのお役目➡

37
00:04:10,032 --> 00:04:13,836
是非 この私めに お任せくださいませ｡

38
00:04:13,836 --> 00:04:17,707
長安！
補佐役の分際で出しゃばるでない！

39
00:04:17,707 --> 00:04:22,511
ろくな戦働きもできぬ お主に
何ができる｡

40
00:04:22,511 --> 00:04:25,181
殿 ご安心くだされ｡

41
00:04:25,181 --> 00:04:27,850
この平八郎が 必ずや➡

42
00:04:27,850 --> 00:04:30,519
お望みに応えてごらんに入れましょうぞ｡

43
00:04:30,519 --> 00:04:33,819
いや それならば 私が｡

44
00:04:36,325 --> 00:04:38,327
失礼つかまつりまする｡

45
00:04:38,327 --> 00:04:40,796
菓子をお持ちいたしました｡

46
00:04:40,796 --> 00:04:42,732
今は そのようなものを…｡

47
00:04:42,732 --> 00:04:46,135
よいよい わしが所望したのじゃ｡

48
00:04:46,135 --> 00:04:48,135
これへ｡

49
00:05:12,161 --> 00:05:16,032
相変わらず うまいのう そちの菓子は｡
ん？

50
00:05:16,032 --> 00:05:21,504
毎日食うても一向に飽きぬ｡
絶品じゃ｡

51
00:05:21,504 --> 00:05:25,504
ありがたき お言葉
もったいのうございまする｡

52
00:05:28,177 --> 00:05:30,846
大久保藤五郎｡

53
00:05:30,846 --> 00:05:36,546
そなたに
江戸の飲み水探しを申しつける｡

54
00:05:40,456 --> 00:05:44,126
うまい菓子を作るには いい水がいる｡

55
00:05:44,126 --> 00:05:47,463
その水の味を知る お主こそ➡

56
00:05:47,463 --> 00:05:50,163
この役目に ふさわしい｡

57
00:05:56,472 --> 00:06:03,145
私のような者に そのような大役を…｡

58
00:06:03,145 --> 00:06:08,818
あああ あああ… ありがたきや！

59
00:06:08,818 --> 00:06:13,689
殿 藤五郎殿には
少々 荷が重すぎまする｡

60
00:06:13,689 --> 00:06:15,958
無理なさるな 辞退されよ｡

61
00:06:15,958 --> 00:06:19,161
わしを みくびるでない！

62
00:06:19,161 --> 00:06:22,064
この大久保藤五郎忠行｡

63
00:06:22,064 --> 00:06:26,502
足は きかずとも 心は武士じゃ｡

64
00:06:26,502 --> 00:06:28,838
殿のお申しつけとあらば➡

65
00:06:28,838 --> 00:06:32,538
この命なげうってでも
やり遂げてみせまする｡

66
00:06:34,643 --> 00:06:38,114
殿 どうか この大役➡

67
00:06:38,114 --> 00:06:40,783
拙者一人に お任せくだされ｡

68
00:06:40,783 --> 00:06:45,121
決して 余人には お命じにならぬよう｡

69
00:06:45,121 --> 00:06:47,421
相分かった｡

70
00:06:48,991 --> 00:06:51,460
頼むぞ 藤五郎｡

71
00:06:51,460 --> 00:06:53,460
はっ！

72
00:06:56,132 --> 00:06:59,802
まさか
このような重要なお役目を頂けるとはの｡

73
00:06:59,802 --> 00:07:01,737
驚いたか？ 驚いたであろう｡

74
00:07:01,737 --> 00:07:05,674
わしが一番驚いたわ｡
ワハハハハハ…｡

75
00:07:05,674 --> 00:07:08,811
何じゃ うれしくないのか？

76
00:07:08,811 --> 00:07:11,714
うれしゅうございますよ｡

77
00:07:11,714 --> 00:07:15,014
でも それ以上に 心配で｡

78
00:07:17,153 --> 00:07:22,825
あのような思いは
二度としとうありませぬ｡

79
00:07:22,825 --> 00:07:49,451
♬～

80
00:07:49,451 --> 00:07:51,451
殿！

81
00:08:01,063 --> 00:08:02,998
藤五郎！

82
00:08:02,998 --> 00:08:06,302
誰か 藤五郎を陣へ！

83
00:08:06,302 --> 00:08:09,805
殿 拙者のことなど お構いなく｡

84
00:08:09,805 --> 00:08:11,740
ほんの かすり傷でござる｡

85
00:08:11,740 --> 00:08:13,676
死ぬでないぞ｡

86
00:08:13,676 --> 00:08:17,146
そなたには
まだまだ働いてもらわねばならぬ｡

87
00:08:17,146 --> 00:08:21,483
よいな これは 主命であるぞ！

88
00:08:21,483 --> 00:08:24,483
ありがたや｡

89
00:08:27,156 --> 00:08:31,760
こんな役立たずとなった わしを➡

90
00:08:31,760 --> 00:08:35,431
殿は 今日まで
おそばに仕わしてくださった｡

91
00:08:35,431 --> 00:08:39,101
もう十分
お役に立たれているではありませんか｡

92
00:08:39,101 --> 00:08:41,036
お殿様が大好きな菓子を➡

93
00:08:41,036 --> 00:08:44,440
毒味もさせずに
安心して召し上がるのは➡

94
00:08:44,440 --> 00:08:48,740
あなた様がお作りになっているからこそで
ございましょう｡

95
00:08:51,313 --> 00:08:53,449
すまぬ｡

96
00:08:53,449 --> 00:08:58,320
そなたとお絹に心配をかけることは
重々 承知じゃ｡

97
00:08:58,320 --> 00:09:04,020
だが ここは 殿への忠義を貫かせてくれ｡

98
00:09:13,769 --> 00:09:16,639
安兵衛 よろしく頼みましたよ｡

99
00:09:16,639 --> 00:09:19,141
ご安心ください｡
旦那様のことは➡

100
00:09:19,141 --> 00:09:22,044
この安兵衛が
しっかりと お守りいたします｡

101
00:09:22,044 --> 00:09:25,344
おお 何じゃ これは？

102
00:09:28,150 --> 00:09:31,754
お絹と２人で
町で買い求めました｡

103
00:09:31,754 --> 00:09:35,090
こたびのお役目が
うまくいきますように｡

104
00:09:35,090 --> 00:09:37,893
これはよい｡ ありがとう｡

105
00:09:37,893 --> 00:09:42,097
家のことは ご心配なさらずに｡

106
00:09:42,097 --> 00:09:46,268
悔いの残らぬよう
ご忠義を全うなさってください｡

107
00:09:46,268 --> 00:09:48,203
ありがたし｡

108
00:09:48,203 --> 00:09:53,142
(絹)父上 早く帰ってきてくださりませ｡

109
00:09:53,142 --> 00:09:55,778
無論じゃ｡ フフフフフ…｡

110
00:09:55,778 --> 00:09:57,713
よし｡

111
00:09:57,713 --> 00:10:03,285
今日から これが わしの刀代わりじゃ｡

112
00:10:03,285 --> 00:10:06,085
(笑い声)

113
00:10:09,792 --> 00:10:14,663
<天正18年７月 大久保藤五郎は➡

114
00:10:14,663 --> 00:10:17,666
家康から
江戸の上水工事の任を受け➡

115
00:10:17,666 --> 00:10:21,136
駿府を後にした>

116
00:10:21,136 --> 00:10:33,716
♬～

117
00:10:33,716 --> 00:10:36,685
うわっ！ あ～！

118
00:10:36,685 --> 00:10:40,155
大丈夫でござりますか！
えいっ えいっ｡

119
00:10:40,155 --> 00:10:42,091
ヤス｡

120
00:10:42,091 --> 00:10:44,827
江戸まで あと どのぐらいだ？

121
00:10:44,827 --> 00:10:47,162
何言ってるんですよ 旦那様｡

122
00:10:47,162 --> 00:10:50,162
ここが 江戸でございます｡

123
00:11:13,856 --> 00:11:16,156
はあ…｡

124
00:11:26,869 --> 00:11:28,804
あっ これ｡

125
00:11:28,804 --> 00:11:33,142
すまんが 水を１杯 所望したい｡

126
00:11:33,142 --> 00:11:36,142
へい お待ちを｡

127
00:11:43,485 --> 00:11:50,159
あ～ 一時は どうなることかと思うたが
ちゃんと村があるではないか｡

128
00:11:50,159 --> 00:11:53,062
村があるということは
水があるということじゃ｡

129
00:11:53,062 --> 00:11:56,031
このお役目
存外 すぐに果たせるやもしれんな｡

130
00:11:56,031 --> 00:11:58,500
さあさあ どうぞ｡
あ～ かたじけない｡

131
00:11:58,500 --> 00:12:00,800
もう 喉がカラカラで…｡

132
00:12:03,172 --> 00:12:06,508
何じゃ これは！ 馬の小便か！

133
00:12:06,508 --> 00:12:08,844
わしは飲み水を所望したのじゃ！

134
00:12:08,844 --> 00:12:11,513
わしらは いつも それを飲んでおります｡

135
00:12:11,513 --> 00:12:13,849
お武家様のお口には合わなんだですか｡

136
00:12:13,849 --> 00:12:15,784
これを…｡

137
00:12:15,784 --> 00:12:17,719
井戸は どこじゃ？

138
00:12:17,719 --> 00:12:20,189
そんなもんは ございません｡

139
00:12:20,189 --> 00:12:24,860
そりゃあ 平川の水でございます｡

140
00:12:24,860 --> 00:12:26,795
<当時 江戸の地では➡

141
00:12:26,795 --> 00:12:30,732
井戸を掘っても 出る水には塩分が多く➡

142
00:12:30,732 --> 00:12:36,432
到底 飲み水として
口にできるものではなかった>

143
00:12:39,141 --> 00:12:41,076
<それから３か月➡

144
00:12:41,076 --> 00:12:47,076
藤五郎が よしとする水は
一向に見つからなかった>

145
00:12:55,157 --> 00:12:57,092
あれは？

146
00:12:57,092 --> 00:13:00,092
あれは お社ですね｡

147
00:13:06,168 --> 00:13:34,796
♬～

148
00:13:34,796 --> 00:13:37,132
あれだ｡

149
00:13:37,132 --> 00:14:15,837
♬～

150
00:14:15,837 --> 00:14:18,137
いかがで？

151
00:14:26,181 --> 00:14:28,116
うまい！

152
00:14:28,116 --> 00:14:31,987
ハハハハハ…｡
これじゃ｡ この水じゃ～！

153
00:14:31,987 --> 00:14:34,456
やりましたな 旦那様！

154
00:14:34,456 --> 00:14:37,793
あったぞ！
(笑い声)

155
00:14:37,793 --> 00:15:01,483
♬～

156
00:15:01,483 --> 00:15:03,483
見事！

157
00:15:05,153 --> 00:15:07,089
ははあ！

158
00:15:07,089 --> 00:15:10,826
<藤五郎は
神田明神辺りの湧き水と➡

159
00:15:10,826 --> 00:15:13,161
赤坂溜池の水を➡

160
00:15:13,161 --> 00:15:17,499
飲み水として 家康に献上した｡➡

161
00:15:17,499 --> 00:15:23,839
その水は 江戸で初めての水道設備
小石川上水として➡

162
00:15:23,839 --> 00:15:28,839
江戸城周辺の人々の喉を潤した>

163
00:15:33,649 --> 00:15:38,353
お主に この名を授ける｡

164
00:15:38,353 --> 00:15:40,322
｢もんど｣｡

165
00:15:40,322 --> 00:15:43,792
いや 水は濁りを嫌う｡

166
00:15:43,792 --> 00:15:47,129
故に ｢もんと｣と読む｡

167
00:15:47,129 --> 00:15:52,467
これからも この江戸に
澄んだ水を送り続けるのじゃ｡

168
00:15:52,467 --> 00:15:54,467
ははあ！

169
00:15:56,138 --> 00:15:59,474
伊奈｡ そなたの方は どうなっておる｡

170
00:15:59,474 --> 00:16:05,347
はい｡ 水害の元凶となる川が
利根川であると突き止めました｡➡

171
00:16:05,347 --> 00:16:10,118
今は その流れを東に変えるべく
支度を整えております｡

172
00:16:10,118 --> 00:16:13,118
一刻も早く頼む｡
はっ｡

173
00:16:20,762 --> 00:16:25,701
はあ～ さすがは藤五郎様 いや 主水様｡

174
00:16:25,701 --> 00:16:27,836
大したものですな｡

175
00:16:27,836 --> 00:16:31,340
かくも短き間に
殿のお望みに応えるとは｡

176
00:16:31,340 --> 00:16:34,910
長安殿も
勘定方の仕事を任されたと聞き申した｡

177
00:16:34,910 --> 00:16:38,447
これからも 殿の御ため
お互い 力を尽くしましょうぞ｡

178
00:16:38,447 --> 00:16:41,116
無論 そのつもりです｡

179
00:16:41,116 --> 00:16:45,454
それにしても 伊奈殿の方は
だいぶ てこずっている ご様子｡

180
00:16:45,454 --> 00:16:48,123
大丈夫ですかな？

181
00:16:48,123 --> 00:16:54,463
川を相手にするのは
一歩 間違えれば 人の命にも関わること｡

182
00:16:54,463 --> 00:16:57,799
早ければよいというものではござらぬ｡

183
00:16:57,799 --> 00:17:03,472
しかし 期日が延びれば延びるほど
費用は かさむ一方ですからな｡➡

184
00:17:03,472 --> 00:17:06,375
できるのなら
早めに身を引いていただきたい｡

185
00:17:06,375 --> 00:17:09,375
それが 徳川のおためでござる｡

186
00:17:20,489 --> 00:17:25,827
なかなか 厳しいことをおっしゃるのう
長安殿も｡

187
00:17:25,827 --> 00:17:28,163
藤五郎殿｡

188
00:17:28,163 --> 00:17:30,832
分かっておられるとは思いますが➡

189
00:17:30,832 --> 00:17:35,670
これで 事足りたわけではございませぬぞ｡

190
00:17:35,670 --> 00:17:41,443
殿は この江戸を
大坂以上の町にするとおっしゃった｡

191
00:17:41,443 --> 00:17:47,743
あれっぽっちの源では
すぐに足りなくなりますぞ｡

192
00:17:51,453 --> 00:17:55,924
<そして 14年がたった>

193
00:17:55,924 --> 00:17:59,127
江戸が ここまでになったのも➡

194
00:17:59,127 --> 00:18:04,827
そなたが
利根川の流れを変えてくれたおかげだ｡

195
00:18:06,468 --> 00:18:08,804
ようやってくれた｡

196
00:18:08,804 --> 00:18:12,474
いえ まだまだ途中でござります｡

197
00:18:12,474 --> 00:18:16,812
いずれは 利根川を
常陸川へと合流させまする｡

198
00:18:16,812 --> 00:18:19,481
さすれば この江戸は
今より はるかに➡

199
00:18:19,481 --> 00:18:22,481
水難の心配は少なくなりましょう｡

200
00:18:26,154 --> 00:18:29,491
先は長いのう｡

201
00:18:29,491 --> 00:18:31,491
はい｡

202
00:18:33,361 --> 00:18:39,100
<関ヶ原の戦いに勝利し
真の天下人となった家康は➡

203
00:18:39,100 --> 00:18:45,440
本格的に江戸の開発に力を注ぎ始める｡➡

204
00:18:45,440 --> 00:18:51,313
しかし それに相反して
人口が急激に増加した江戸では➡

205
00:18:51,313 --> 00:18:54,783
飲み水の不足が徐々に深刻化し➡

206
00:18:54,783 --> 00:19:02,290
かつての伊奈忠次の言葉が
まさに現実のものとなりつつあった>

207
00:19:02,290 --> 00:19:05,927
どうなっておるのですか！
もう丸一日 水が出ませぬ！

208
00:19:05,927 --> 00:19:09,464
これじゃあ 顔も洗えなければ
飯の支度もできませぬよ！

209
00:19:09,464 --> 00:19:11,933
水を飲まなきゃ かかあたちの乳も
出ないんでございますよ！

210
00:19:11,933 --> 00:19:15,804
ええ 今 水路の詰まりを直させておるゆえ
もう少し待ってくれ｡

211
00:19:15,804 --> 00:19:18,473
もう少しって！

212
00:19:18,473 --> 00:19:20,473
出たぞ～！

213
00:19:23,345 --> 00:19:29,117
(町人たちの喜ぶ声)

214
00:19:29,117 --> 00:19:31,753
ああっ ご苦労じゃったな｡

215
00:19:31,753 --> 00:19:35,624
ふう～ 樋に落ち葉が詰まっておりやした｡

216
00:19:35,624 --> 00:19:40,762
やはり 水の送り先を広げたせいで
勢いが弱くなったようです｡

217
00:19:40,762 --> 00:19:45,100
一刻も早く
もっと豊富な源を見いださねば｡

218
00:19:45,100 --> 00:19:49,437
ほんとに あるんですかねえ…｡
探すしかあるまい｡

219
00:19:49,437 --> 00:19:52,340
わしは 殿と約束したのじゃ｡

220
00:19:52,340 --> 00:19:57,640
必ずや この江戸に 澄んだ水を引くと｡

221
00:20:12,460 --> 00:20:15,130
その腕 どうしたのじゃ!?

222
00:20:15,130 --> 00:20:17,799
大したことございません｡➡

223
00:20:17,799 --> 00:20:20,799
お医者様が大げさなんですよ｡

224
00:20:23,471 --> 00:20:27,342
母上は 薪を運ぼうとして崩してしまい
手を挟んだんです｡

225
00:20:27,342 --> 00:20:32,480
薪を！ 大事ないか!?

226
00:20:32,480 --> 00:20:34,416
父上のせいですよ｡

227
00:20:34,416 --> 00:20:36,818
お絹 おやめなさい｡

228
00:20:36,818 --> 00:20:41,690
父上が いつも 安兵衛を連れ歩いて
水のことばかり なさっているから➡

229
00:20:41,690 --> 00:20:44,492
男手が足りずに
母上は いつも無理なさっているのです｡

230
00:20:44,492 --> 00:20:46,828
お絹｡
当たり前じゃ｡

231
00:20:46,828 --> 00:20:50,165
お前は小さくて
覚えておらんかもしれぬが➡

232
00:20:50,165 --> 00:20:53,068
将軍様は わしを信じて➡

233
00:20:53,068 --> 00:20:56,838
わしだけに
このお役目を与えてくださったのじゃ｡

234
00:20:56,838 --> 00:21:00,175
わしがやらねば
ほかに代わりはおらんのじゃ｡

235
00:21:00,175 --> 00:21:04,512
でしたら 私は 叔父様に
婿殿をお世話していただきます｡

236
00:21:04,512 --> 00:21:06,448
何じゃ いきなり！

237
00:21:06,448 --> 00:21:08,383
(絹)よき婿殿と一緒になって➡

238
00:21:08,383 --> 00:21:11,853
父上の代わりに
母上と私を守ってもらいまする｡

239
00:21:11,853 --> 00:21:14,189
父上とは似ても似つかぬような➡

240
00:21:14,189 --> 00:21:16,858
身内思いの優しい殿方と
一緒になりまする！

241
00:21:16,858 --> 00:21:18,793
な… 何じゃと！

242
00:21:18,793 --> 00:21:20,729
おっ ちょっと…｡

243
00:21:20,729 --> 00:21:23,732
お絹！

244
00:21:23,732 --> 00:21:25,732
ウフフフ…｡

245
00:21:33,808 --> 00:21:38,808
すまなかったの 無理をさせて｡

246
00:21:47,355 --> 00:21:53,161
私より あなたこそ
お体きつくはございませぬか｡

247
00:21:53,161 --> 00:21:57,832
まずは ご自分のお体を
大切にしていただかないと➡

248
00:21:57,832 --> 00:22:01,703
将軍様へのご忠義を
全うしようにもできませぬ｡

249
00:22:01,703 --> 00:22:05,403
そうじゃの｡
(安兵衛)旦那様！

250
00:22:07,509 --> 00:22:09,809
遅くに すいません｡

251
00:22:18,153 --> 00:22:23,858
<このころ 大久保長安は
その財務能力を高く家康に買われ➡

252
00:22:23,858 --> 00:22:26,761
徳川幕府の金庫番として➡

253
00:22:26,761 --> 00:22:33,461
天下の総代官と呼ばれるほどの
異例の出世を果たしていた>

254
00:22:35,136 --> 00:22:39,007
主水殿 お待たせいたした｡

255
00:22:39,007 --> 00:22:43,478
殿に お目通りを願ったはずだが｡

256
00:22:43,478 --> 00:22:45,513
上様は
所用で お会いすることができぬ｡

257
00:22:45,513 --> 00:22:49,350
私が代わりに
用向きをお聞きせよとのこと｡

258
00:22:49,350 --> 00:22:51,653
長安殿が？

259
00:22:51,653 --> 00:22:54,155
では 申し上げる｡

260
00:22:54,155 --> 00:22:56,091
武蔵野において➡

261
00:22:56,091 --> 00:22:59,828
殿の命を仰せつかったなどと申す
やからが➡

262
00:22:59,828 --> 00:23:04,499
人足を集め 上水路を掘り始めたと
耳にいたしたゆえ➡

263
00:23:04,499 --> 00:23:07,402
その真偽を確かめに参った｡

264
00:23:07,402 --> 00:23:10,839
ああ そのことなら
紛れもない事実じゃ｡

265
00:23:10,839 --> 00:23:15,176
先日の鷹狩りの際に
殿が その源を見つけられたらしい｡

266
00:23:15,176 --> 00:23:17,112
大層 甘い水で➡

267
00:23:17,112 --> 00:23:19,848
それを
何としても 江戸城下に引き入れよと➡

268
00:23:19,848 --> 00:23:22,183
地元の名主に命じたそうじゃ｡

269
00:23:22,183 --> 00:23:24,119
バカな！

270
00:23:24,119 --> 00:23:29,057
殿は わし一人に 江戸の上水を任せると
そうおっしゃってくださったはずじゃ｡

271
00:23:29,057 --> 00:23:32,794
ハハハハハ…｡

272
00:23:32,794 --> 00:23:36,664
何年前の話にござりまするか｡

273
00:23:36,664 --> 00:23:41,136
これほど 時と金銀を費やして
いまだ めどが立たぬとあっては➡

274
00:23:41,136 --> 00:23:45,836
上様でなくても
ほかの者を選びたくなりましょう｡

275
00:23:47,475 --> 00:23:52,947
同じ水を相手にするでも
伊奈殿とは大違いじゃな｡

276
00:23:52,947 --> 00:23:54,883
伊奈殿？

277
00:23:54,883 --> 00:23:59,154
(長安)あやつは 見事
利根川の流れを東に移すことに成功し➡

278
00:23:59,154 --> 00:24:03,024
今や 殿より 絶大なご信用を得ておる｡

279
00:24:03,024 --> 00:24:06,024
このわしの次にな｡

280
00:24:09,164 --> 00:24:13,034
おのれ 長安め 偉そうに！

281
00:24:13,034 --> 00:24:18,173
殿も殿じゃ｡ 何故 私以外の人間に
上水の普請を任せたのじゃ！

282
00:24:18,173 --> 00:24:21,509
まさか これも長安の仕組んだことか？

283
00:24:21,509 --> 00:24:25,980
いや やはり 殿が
私を見限ったということか｡

284
00:24:25,980 --> 00:24:28,049
いや いや いや…
そのようなことがあるはずがない｡

285
00:24:28,049 --> 00:24:30,185
とすれば…｡

286
00:24:30,185 --> 00:24:33,485
あ～ もう どいつも こいつも
信用ならん！ 腹が立つ！

287
00:24:45,466 --> 00:24:49,804
それっ！ それっ！

288
00:24:49,804 --> 00:24:53,141
おい そこ！
もっと しっかり腰を入れんか！

289
00:24:53,141 --> 00:24:56,811
さような調子では
100年かかっても水は流せんぞ！

290
00:24:56,811 --> 00:24:58,746
え～い…｡

291
00:24:58,746 --> 00:25:01,149
それっ！ それっ！

292
00:25:01,149 --> 00:25:03,449
こら そこの山猿｡

293
00:25:05,486 --> 00:25:09,157
誰が山猿じゃ！

294
00:25:09,157 --> 00:25:14,829
我こそは 将軍様より じきじきに
上水普請のお役を言いつかった➡

295
00:25:14,829 --> 00:25:16,764
内田六次郎であるぞ！

296
00:25:16,764 --> 00:25:18,700
何が普請のお役じゃ｡

297
00:25:18,700 --> 00:25:22,170
先ほどから見ておれば
お主の指図は でたらめばかりではないか｡

298
00:25:22,170 --> 00:25:25,073
足を引っ張っておるのは お主じゃ！

299
00:25:25,073 --> 00:25:31,512
黙って聞いていれば 失礼極まりない！
誰じゃい お主は！

300
00:25:31,512 --> 00:25:35,383
拙者は 家康公直参 大久保…｡

301
00:25:35,383 --> 00:25:39,120
大久保!? ははあ！

302
00:25:39,120 --> 00:25:44,459
あの天下の総代官様といわれた
大久保長安様であられまするか！

303
00:25:44,459 --> 00:25:46,394
ご無礼 お許しくだされ！

304
00:25:46,394 --> 00:25:49,797
長安？ いや そうではない｡

305
00:25:49,797 --> 00:25:54,135
では 小田原城主 大久保忠隣様！

306
00:25:54,135 --> 00:25:56,804
それも違う｡ 遠縁ではあるが｡

307
00:25:56,804 --> 00:26:00,475
えっ では どちらの大久保様で？

308
00:26:00,475 --> 00:26:08,816
長年 殿のもとで 菓子司を務めておった
大久保藤五郎忠行じゃ｡

309
00:26:08,816 --> 00:26:12,153
大久保藤五郎様！

310
00:26:12,153 --> 00:26:14,188
知らんな｡
侮るな｡

311
00:26:14,188 --> 00:26:16,658
今は 江戸の上水普請も任されておる｡

312
00:26:16,658 --> 00:26:20,495
大体
何で 菓子司に そのような お役目を！

313
00:26:20,495 --> 00:26:22,430
そういう お主とて
百姓上がりではないか｡

314
00:26:22,430 --> 00:26:24,966
百姓をバカにするな！
菓子司を見くびるな！

315
00:26:24,966 --> 00:26:29,804
わしはな
この村をまとめ上げる名主じゃぞ｡

316
00:26:29,804 --> 00:26:35,109
一声かければ 人は集まるし
水路を通す場所も 何の障りもなく…｡

317
00:26:35,109 --> 00:26:37,045
(勘六)おい 六次郎！

318
00:26:37,045 --> 00:26:41,449
(庄左衛門)わしらは水を引くことに
同意した覚えなどないぞ！

319
00:26:41,449 --> 00:26:44,786
まだ そんなことを言っておるのか｡

320
00:26:44,786 --> 00:26:48,289
(勘六)
江戸市内にまで水を引いてしまったら➡

321
00:26:48,289 --> 00:26:51,793
七井の池の水が
干上がってしまうかもしれんじゃないか｡

322
00:26:51,793 --> 00:26:54,462
(庄左衛門)そんなことになったら
わしら もう 米も作れねえ｡➡

323
00:26:54,462 --> 00:26:57,799
ここで 生きていけなくなっちまうだ！

324
00:26:57,799 --> 00:26:59,734
(六次郎)心配ない｡

325
00:26:59,734 --> 00:27:04,138
わしの家は名主として
先祖代々 あの池を見てきたんじゃ｡

326
00:27:04,138 --> 00:27:08,476
あの湧き水は
もう何百年と かれることはなかった｡

327
00:27:08,476 --> 00:27:11,946
これさえ うまくいけば お上から
たんまりと恩賞がもらえるんじゃ｡

328
00:27:11,946 --> 00:27:15,316
そうすりゃあ 村だって潤うじゃねえか｡

329
00:27:15,316 --> 00:27:18,353
お侍の言うことなんぞ
当てになるもんかい！

330
00:27:18,353 --> 00:27:21,489
(源兵衛)わしらの水を奪われてたまるか！

331
00:27:21,489 --> 00:27:25,789
旦那様
七井の池の湧き水をくんでまいりやした｡

332
00:27:27,829 --> 00:27:34,129
<この七井の池とは
後の世の 井の頭池のことである>

333
00:27:38,106 --> 00:27:41,106
混じりけが一切ない｡

334
00:27:48,750 --> 00:27:50,685
これほどとは…｡
(勘六)おい 六次郎！➡

335
00:27:50,685 --> 00:27:55,456
普請をやめるまで
わしは ここを動かんぞ！

336
00:27:55,456 --> 00:27:57,456
わしもじゃ！

337
00:27:59,127 --> 00:28:02,030
じい様まで 勘弁してくれよ｡➡

338
00:28:02,030 --> 00:28:05,466
わしは この村のためを思えばこそ
やっておるんだぞ｡

339
00:28:05,466 --> 00:28:09,137
(勘六)お前も 役人になったんじゃろ｡
わしらの敵じゃ！

340
00:28:09,137 --> 00:28:12,040
(六次郎)敵って何じゃ！

341
00:28:12,040 --> 00:28:14,642
何だよ あんたが口を挟むこと…｡

342
00:28:14,642 --> 00:28:16,577
どけ！
わわわ…｡

343
00:28:16,577 --> 00:28:21,149
拙者は 家康公にお仕えする
大久保藤五郎と申す｡

344
00:28:21,149 --> 00:28:27,021
そなたたちが
我ら武士を嫌う気持ちは よう分かった｡

345
00:28:27,021 --> 00:28:31,159
じゃが
今の江戸城下には 武士以外にも➡

346
00:28:31,159 --> 00:28:35,430
多くの町人たちが住み始めておるのじゃ｡

347
00:28:35,430 --> 00:28:41,102
井戸の周りには
いつも 人が集まっておってな➡

348
00:28:41,102 --> 00:28:46,974
その水で
一日働いた汗と汚れを落とす者➡

349
00:28:46,974 --> 00:28:50,778
湯を沸かして 夕餉の支度をする者➡

350
00:28:50,778 --> 00:28:55,616
喉を鳴らして 水を飲む童たちも
大勢おる｡

351
00:28:55,616 --> 00:29:00,488
その水が 足らなくなっておるのじゃ｡

352
00:29:00,488 --> 00:29:02,490
わしは そういう者たちに➡

353
00:29:02,490 --> 00:29:07,128
ここの清らかな水を
飲ませてやりたいのじゃ｡

354
00:29:07,128 --> 00:29:12,428
そなたらの大事な水を奪うようなことは
決して せぬ｡

355
00:29:17,138 --> 00:29:21,008
わしは 将軍様を信じておる｡

356
00:29:21,008 --> 00:29:29,717
その将軍様が認めた この六次郎を
信じることにする｡

357
00:29:29,717 --> 00:29:36,017
六次郎が ここの水は かれないと言うなら
かれないのじゃ｡

358
00:29:38,759 --> 00:29:40,759
だから…｡

359
00:29:42,630 --> 00:29:46,634
頼む 皆の衆｡
どうか 力を貸してくれ｡

360
00:29:46,634 --> 00:29:53,934
江戸の町に暮らす人々に
安心して飲める水を届けてやってくれ｡

361
00:29:57,111 --> 00:29:59,046
このとおりじゃ！

362
00:29:59,046 --> 00:30:24,338
♬～

363
00:30:24,338 --> 00:30:27,038
よし！ いいぞ！ さあ 掘れ！

364
00:30:29,810 --> 00:30:34,649
もっと ゆっくり 丁寧に振らんか！

365
00:30:34,649 --> 00:30:36,584
やっとるだろうが！

366
00:30:36,584 --> 00:30:41,422
この普請の頭は わしじゃ！
口を挟むな｡

367
00:30:41,422 --> 00:30:45,159
誰のおかげで
また仕事にかかれたと思うておるのじゃ｡

368
00:30:45,159 --> 00:30:47,094
(六次郎)
あんたがいなくとも もう一息で➡

369
00:30:47,094 --> 00:30:49,830
俺も あやつらを説き伏せられた｡➡

370
00:30:49,830 --> 00:30:52,166
手柄を横取りするようなまねしやがって｡

371
00:30:52,166 --> 00:30:56,837
どの口が申しておる｡
大体 今まで 大目に見ておったが➡

372
00:30:56,837 --> 00:30:59,840
百姓の分際で
武士に何という口のきき方じゃ｡

373
00:30:59,840 --> 00:31:03,711
そっちこそ その百姓に
あっさり頭を下げるなんて➡

374
00:31:03,711 --> 00:31:06,847
武士が聞いてあきれらあ！
それで 水が引けるなら➡

375
00:31:06,847 --> 00:31:09,517
こんな頭 いくらでも下げるわい｡
安いものよ｡

376
00:31:09,517 --> 00:31:13,854
わしのつまらん意地など
誰の喉も潤さぬ！

377
00:31:13,854 --> 00:31:15,790
何じゃ？

378
00:31:15,790 --> 00:31:19,527
大バカ者じゃな あんたは｡

379
00:31:19,527 --> 00:31:23,397
だから
その物言いに気を付けろと言うておる！

380
00:31:23,397 --> 00:31:25,866
意地は張らんのだろ！
それとこれとは 話が別じゃ｡

381
00:31:25,866 --> 00:31:30,166
大体 お主のようなやつには
死んでも頭は下げん！

382
00:31:34,475 --> 00:31:37,378
(勘吉)あの｡

383
00:31:37,378 --> 00:31:42,149
そろそろ
先に掘り進んでいいですかいのう？

384
00:31:42,149 --> 00:31:47,822
<藤五郎たちが 七井の池から
江戸の町を目指した この上水路は➡

385
00:31:47,822 --> 00:31:51,692
神田上水と名付けられる｡➡

386
00:31:51,692 --> 00:31:56,163
水は 高い所から低い所へと流れる｡➡

387
00:31:56,163 --> 00:32:00,501
御茶の水の懸樋までの
22キロに及ぶ工事は➡

388
00:32:00,501 --> 00:32:03,471
10メートルで
僅か２センチの勾配を➡

389
00:32:03,471 --> 00:32:06,371
維持し続ける戦いであった>

390
00:32:08,175 --> 00:32:10,111
あ～ 駄目じゃ！

391
00:32:10,111 --> 00:32:13,047
掘り過ぎるな！
傾斜を一定に保つのじゃ！

392
00:32:13,047 --> 00:32:15,747
低くなり過ぎると
取り返しがつかんぞ！

393
00:32:20,755 --> 00:32:25,526
おい あとは若いやつらに任せて
少し休んだら どうだい｡

394
00:32:25,526 --> 00:32:27,461
わしを年寄り扱いするな｡

395
00:32:27,461 --> 00:32:31,198
お主こそ 手を抜いてないで
しっかり仕事せんか！

396
00:32:31,198 --> 00:32:34,468
あ～ そうかい
なら 勝手にしな！

397
00:32:34,468 --> 00:32:37,805
うわっ！

398
00:32:37,805 --> 00:32:41,105
早く上がれ！
(２人)あ～！

399
00:32:43,477 --> 00:32:45,413
いってえ…｡

400
00:32:45,413 --> 00:32:49,150
このバカ者が！
(せきこみ)

401
00:32:49,150 --> 00:32:51,085
ああ…｡

402
00:32:51,085 --> 00:32:55,823
２人とも けがをしたら
誰が この普請を進めるのじゃ！

403
00:32:55,823 --> 00:32:57,758
わしのことなど 放っておかぬか！

404
00:32:57,758 --> 00:33:01,495
何!?
はあ はあ はあ…｡

405
00:33:01,495 --> 00:33:06,195
まったく｡
お互い 大事なくて 幸いだった｡

406
00:33:08,836 --> 00:33:13,174
まあ じゃが かたじけない｡

407
00:33:13,174 --> 00:33:15,109
次は 助けぬからな！

408
00:33:15,109 --> 00:33:17,845
二度と落ちぬわ！

409
00:33:17,845 --> 00:33:25,519
(笑い声)

410
00:33:25,519 --> 00:33:28,856
<神田上水は ３年以上を費やし➡

411
00:33:28,856 --> 00:33:33,156
江戸の町へ
あと一歩のところまで作られていた>

412
00:33:40,801 --> 00:33:46,140
この水を通す橋さえ出来れば
江戸の町は もう目と鼻の先じゃ｡

413
00:33:46,140 --> 00:33:51,011
ああ やっと ここまで来たな！

414
00:33:51,011 --> 00:33:55,149
こら 勘吉！
そんな へっぴり腰じゃ➡

415
00:33:55,149 --> 00:33:58,052
もらったばっかりの嫁さんに
逃げられっぞ！

416
00:33:58,052 --> 00:34:00,020
うるさいわ！

417
00:34:00,020 --> 00:34:02,823
(笑い声)

418
00:34:02,823 --> 00:34:07,161
みんな あと ひとふんばりじゃ！

419
00:34:07,161 --> 00:34:09,096
よし いくぞ！
(人足たち)へい！➡

420
00:34:09,096 --> 00:34:11,499
せ～の！

421
00:34:11,499 --> 00:34:13,499
あああっ！

422
00:34:15,169 --> 00:34:17,505
勘吉！
勘吉！

423
00:34:17,505 --> 00:34:19,505
勘吉！

424
00:34:24,378 --> 00:34:27,181
<江戸の町まで あと少し｡➡

425
00:34:27,181 --> 00:34:33,881
苦楽を共にした勘吉は 帰らぬ人となった>

426
00:34:40,127 --> 00:34:42,797
(六次郎)もくろみより
ひとつきも遅れちまったな｡

427
00:34:42,797 --> 00:34:47,468
あんなことがあったんじゃ
致し方あるまい｡

428
00:34:47,468 --> 00:34:51,138
よっしゃ
ここからは いよいよ 市中となる｡

429
00:34:51,138 --> 00:34:53,808
気を取り直して
一気に仕事を進めねえとな｡

430
00:34:53,808 --> 00:35:00,508
いや 本当に難しいのは ここからじゃ｡

431
00:35:02,149 --> 00:35:06,020
暗渠？
そうじゃ 暗渠じゃ｡

432
00:35:06,020 --> 00:35:10,825
これまでの素掘りの上水路ではなく
樋を地中に埋めて 水を流すのじゃ｡

433
00:35:10,825 --> 00:35:13,160
さすれば 水が汚れず➡

434
00:35:13,160 --> 00:35:15,095
流れに勢いをつけて➡

435
00:35:15,095 --> 00:35:17,832
低い方から高い方へと押し上げることも➡

436
00:35:17,832 --> 00:35:21,168
より広く上水を送り届けることもできる｡

437
00:35:21,168 --> 00:35:25,840
けどな 地中に水路を作るには
石を どこから運んでくるんだ？

438
00:35:25,840 --> 00:35:27,775
分かっておる｡
だから 難しいと言ったんじゃ｡

439
00:35:27,775 --> 00:35:31,178
一旦 ここは 今までどおり
開渠にした方がいいんじゃないか？

440
00:35:31,178 --> 00:35:33,447
それでは 水を流せる場所に限りがある｡

441
00:35:33,447 --> 00:35:35,916
せっかく
皆が 水を待っておるというのに｡

442
00:35:35,916 --> 00:35:39,787
なら なおさら
ゴチャゴチャ抜かしてても 水は通らぬ！

443
00:35:39,787 --> 00:35:43,123
上様から この普請を命じられたのは
俺だぞ！

444
00:35:43,123 --> 00:35:45,059
ここは 俺に従え｡
図に乗るな｡

445
00:35:45,059 --> 00:35:46,994
わしは
お主より10年以上前に命じられておる｡

446
00:35:46,994 --> 00:35:48,996
大先達じゃ｡
わしの言うことを聞け！

447
00:35:48,996 --> 00:35:52,466
俺の方が…｡
(掛け声)

448
00:35:52,466 --> 00:36:00,140
(掛け声)

449
00:36:00,140 --> 00:36:04,440
(六次郎)何だ お主たちは！
ここで 何を始める気じゃ！

450
00:36:06,013 --> 00:36:09,149
(春日)
大久保藤五郎様とお見受けいたしますが｡

451
00:36:09,149 --> 00:36:11,085
いかにも｡

452
00:36:11,085 --> 00:36:14,488
私は 春日清兵衛と申す者でござる｡

453
00:36:14,488 --> 00:36:18,359
家康様より 江戸の上水役を
仰せつかってまいりました｡

454
00:36:18,359 --> 00:36:20,361
(２人)お前もか！

455
00:36:20,361 --> 00:36:24,498
早速ですが 暗渠の普請を
進めていきたいと思いまする｡

456
00:36:24,498 --> 00:36:27,835
私が この場を預かっても
よろしゅうございますか｡

457
00:36:27,835 --> 00:36:33,107
いやいや
お主のような若年には 到底無理じゃ｡

458
00:36:33,107 --> 00:36:36,010
それに 石材もなしに どうするってんだ｡

459
00:36:36,010 --> 00:36:38,445
そんなものは いりませぬ｡

460
00:36:38,445 --> 00:36:40,781
代わりに…➡

461
00:36:40,781 --> 00:36:42,716
これを使うのです｡

462
00:36:42,716 --> 00:36:45,653
木？ 木を使うと申すか？

463
00:36:45,653 --> 00:36:47,655
はい｡

464
00:36:47,655 --> 00:36:50,124
そんなものを地面に埋めて
水なんか流したら➡

465
00:36:50,124 --> 00:36:53,460
すぐに腐ってしまうではないか！
いいえ 腐りません！

466
00:36:53,460 --> 00:36:56,363
何度も試し 確かめました｡

467
00:36:56,363 --> 00:37:01,335
木の樋を地中に埋めて土で覆い
日の光や風に さらさなければ➡

468
00:37:01,335 --> 00:37:04,471
腐るものではありません！

469
00:37:04,471 --> 00:37:08,342
しかも 木であれば
軽くて細工もしやすい｡

470
00:37:08,342 --> 00:37:13,147
ここに持参したものは
印と印を合わせて つなげれば➡

471
00:37:13,147 --> 00:37:16,483
一本の長い樋が出来上がるように
作ってありますので➡

472
00:37:16,483 --> 00:37:19,820
大きく手間が省けます｡

473
00:37:19,820 --> 00:37:24,692
そういうわけですから
今後は私が采配を取ります｡

474
00:37:24,692 --> 00:37:26,992
よろしいですね｡

475
00:37:32,766 --> 00:37:37,438
<春日のもたらした
画期的な技術革新によって➡

476
00:37:37,438 --> 00:37:42,109
上水路の工事は 飛躍的に速さを増した｡➡

477
00:37:42,109 --> 00:37:45,012
…かに思えたが>

478
00:37:45,012 --> 00:37:48,782
そこは もっと丁寧に つないでください！

479
00:37:48,782 --> 00:37:52,782
ちょっとの隙間も
水漏れのもとになります！

480
00:37:56,123 --> 00:37:58,459
あ～ そっちも違います！➡

481
00:37:58,459 --> 00:38:01,459
印を よく見てください｡

482
00:38:03,797 --> 00:38:05,733
(春日)印！

483
00:38:05,733 --> 00:38:09,136
印をよく見てくださいって
言ってるんです！

484
00:38:09,136 --> 00:38:11,136
≪(絹)失礼いたします｡

485
00:38:24,151 --> 00:38:26,151
そこに置いておけ｡

486
00:38:33,961 --> 00:38:37,698
(六次郎)おい えらい器量よしじゃねえか｡

487
00:38:37,698 --> 00:38:40,434
あんたの娘にしておくのは
もったいねえな｡

488
00:38:40,434 --> 00:38:42,770
大きな お世話じゃ｡

489
00:38:42,770 --> 00:38:45,673
お前さんも そう思うだろう｡ あっ？

490
00:38:45,673 --> 00:38:49,443
おい｡ おい 聞いてんのか｡

491
00:38:49,443 --> 00:38:51,378
返事しろよ お前よ！
あっ どうどうどう…｡

492
00:38:51,378 --> 00:38:53,313
そう いきりたつでない｡

493
00:38:53,313 --> 00:38:56,116
そなたも こっち来て 酒飲まれよ｡

494
00:38:56,116 --> 00:38:59,987
考えが まとまらなくなるゆえ
話しかけないでいただきたい｡

495
00:38:59,987 --> 00:39:03,991
この～！

496
00:39:03,991 --> 00:39:06,460
人足を取り替えろじゃと？

497
00:39:06,460 --> 00:39:10,330
はい｡ 私が見る限り 皆 素人｡

498
00:39:10,330 --> 00:39:13,133
これまでは
それでも よかったかもしれませぬが➡

499
00:39:13,133 --> 00:39:18,005
市中での水道普請は
殊更 念入りにやらねばなりませぬ｡

500
00:39:18,005 --> 00:39:21,809
ただ 頭数をそろえれば
どうにかなるようなものではござらん｡

501
00:39:21,809 --> 00:39:23,744
おい ちょ 待てよ｡

502
00:39:23,744 --> 00:39:28,148
あの連中は 七井の池から
ずっと一緒にやってきた連中だ｡

503
00:39:28,148 --> 00:39:32,986
やっと ここまで来て あと少しって時に
もう用なしだなんて言えるかよ！

504
00:39:32,986 --> 00:39:36,757
言えます｡ 新しい技のためです｡

505
00:39:36,757 --> 00:39:39,660
我々だけで ここまで
やってこれたわけではないのじゃ｡

506
00:39:39,660 --> 00:39:44,631
彼らに受けた恩をあだで返すようなまねは
侍として できかねる｡

507
00:39:44,631 --> 00:39:46,767
なるほど｡

508
00:39:46,767 --> 00:39:52,106
何年かかっても 上水が完成しないわけだ｡

509
00:39:52,106 --> 00:39:55,442
恩義だの忠義だのとばかり
おっしゃっているから➡

510
00:39:55,442 --> 00:39:58,779
いつまでも 事はなされぬのです｡➡

511
00:39:58,779 --> 00:40:01,448
万全な成果を目指すなら➡

512
00:40:01,448 --> 00:40:04,351
足を引っ張る者は
振り捨てねばなりませぬ｡

513
00:40:04,351 --> 00:40:12,092
わしは そのような考えには 賛同できぬ｡

514
00:40:12,092 --> 00:40:15,462
そなたの知恵や技は
すばらしいものだと認めよう｡

515
00:40:15,462 --> 00:40:19,800
腕のいい職人や 人足頭を雇うのも
とめだてはせぬ｡ が…➡

516
00:40:19,800 --> 00:40:28,142
共に戦ってきた者たちを
使い捨てるようなまねだけは できぬ｡

517
00:40:28,142 --> 00:40:33,480
断じて できぬ｡ なあ｡

518
00:40:33,480 --> 00:40:35,415
お待ちくだされ｡

519
00:40:35,415 --> 00:40:38,819
表門前の普請を行うことは
承諾を頂いておりましたはず｡

520
00:40:38,819 --> 00:40:42,489
何故 急な お心変わりを｡

521
00:40:42,489 --> 00:40:46,160
あれほどの普請だとは聞いておらぬ｡

522
00:40:46,160 --> 00:40:50,030
あれでは 殿のおかごの出入りが
はばかられるではないか｡

523
00:40:50,030 --> 00:40:53,834
ほんの… ほんのいっときでござりまする｡

524
00:40:53,834 --> 00:40:55,769
はあ…｡

525
00:40:55,769 --> 00:41:02,509
主君の意向も伺い
重臣一同 相談の上でなければ➡

526
00:41:02,509 --> 00:41:05,846
即答は いたしかねる｡

527
00:41:05,846 --> 00:41:11,185
それでは お約束が違いまする！

528
00:41:11,185 --> 00:41:15,055
上様は またご不在なのか！
どこで何をしておられる！

529
00:41:15,055 --> 00:41:17,057
わきまえよ｡

530
00:41:17,057 --> 00:41:20,527
そなたのような者が
やすやすと お目通りできること自体が➡

531
00:41:20,527 --> 00:41:22,462
普通ではないのだ｡

532
00:41:22,462 --> 00:41:27,201
殿のお命を救ったからというて
家臣としては当然の行い｡

533
00:41:27,201 --> 00:41:31,538
にもかかわらず
これ見よがしに足を引きずり➡

534
00:41:31,538 --> 00:41:33,473
恩着せがましい振る舞いをしおって｡

535
00:41:33,473 --> 00:41:36,376
そんなつもりは毛頭ござらん！

536
00:41:36,376 --> 00:41:41,148
私は ただ殿のおそばに お仕えし➡

537
00:41:41,148 --> 00:41:45,018
お役に立ちたいだけでござりまする｡

538
00:41:45,018 --> 00:41:49,018
だったら急がれよ｡

539
00:41:50,824 --> 00:41:54,161
主水は いかがいたした？

540
00:41:54,161 --> 00:41:59,833
先ほど帰りましてございます｡

541
00:41:59,833 --> 00:42:02,533
そうか…｡

542
00:42:07,507 --> 00:42:15,507
いまだ上水が完成せぬのに
上様に会わす顔がないと｡

543
00:42:17,184 --> 00:42:23,056
あやつの菓子が懐かしいのう…｡

544
00:42:23,056 --> 00:42:26,860
もし近々に完成できなければ➡

545
00:42:26,860 --> 00:42:32,860
お役目を返上し 私めに譲るなどと｡

546
00:42:35,669 --> 00:42:38,669
藤五郎がのう…｡

547
00:42:40,807 --> 00:42:44,478
長安殿が 全部…｡

548
00:42:44,478 --> 00:42:47,147
長安殿が手を回したことだというのか？

549
00:42:47,147 --> 00:42:49,816
はい…｡➡

550
00:42:49,816 --> 00:42:52,152
殿のご真意は別にあるなどと たばかり➡

551
00:42:52,152 --> 00:42:56,023
更には さまざまなお役を軽減することを
ちらつかせ➡

552
00:42:56,023 --> 00:42:58,825
我々を拒むよう言い含めたようです｡

553
00:42:58,825 --> 00:43:01,728
何で そんなことするんだよ？

554
00:43:01,728 --> 00:43:03,697
藤五郎様に代わって➡

555
00:43:03,697 --> 00:43:07,834
江戸の上水を 己が意のままにしようと
しているのでしょう｡

556
00:43:07,834 --> 00:43:11,705
チッ｡ これだから武士ってやつは
信用できねえんだ｡

557
00:43:11,705 --> 00:43:15,175
いや… 長安殿から見れば➡

558
00:43:15,175 --> 00:43:18,845
わしは無能な銭食い虫であることも
事実じゃ｡

559
00:43:18,845 --> 00:43:21,515
振り捨てたくなるのも道理｡

560
00:43:21,515 --> 00:43:23,850
ならば どうするんじゃ？

561
00:43:23,850 --> 00:43:26,850
ここまで来て 諦めるのか!?

562
00:43:28,722 --> 00:43:33,660
ここを通らずに
遠回りして水を引くしかありますまい｡

563
00:43:33,660 --> 00:43:38,360
だが当然 余計な手間が増すばかり｡

564
00:43:40,334 --> 00:43:43,136
(春日)一刻も早く仕事にかかるとして➡

565
00:43:43,136 --> 00:43:46,039
今はっきりと言えることは➡

566
00:43:46,039 --> 00:43:50,739
やはり あの者たちでは
手に余るということです｡

567
00:43:52,813 --> 00:43:56,483
もっと年季を積んだ腕利きの職人や
仕事師を集めねば｡

568
00:43:56,483 --> 00:44:02,155
だけどよ そんな連中 集めようにも
すぐには集められねえだろ｡

569
00:44:02,155 --> 00:44:04,491
私に ツテがあります｡➡

570
00:44:04,491 --> 00:44:10,491
あなた方は まず今いる人足たちに
辞めるよう話してください｡

571
00:44:12,366 --> 00:44:15,135
俺たちは お払い箱ってわけですかい！

572
00:44:15,135 --> 00:44:18,505
誰も そうは言ってねえだろ｡
江戸を よくするために➡

573
00:44:18,505 --> 00:44:21,174
俺たちの力がいるんだって
言ったじゃねえか！

574
00:44:21,174 --> 00:44:24,845
息子や孫が ずっと自慢できる
そういう仕事だって！

575
00:44:24,845 --> 00:44:28,715
もっと腕のいいやつを入れるっていうなら
それでも構わねえ！➡

576
00:44:28,715 --> 00:44:33,120
でも 俺たちも
最後まで やらせてくだせえ！

577
00:44:33,120 --> 00:44:35,789
大久保様は どうなんで？

578
00:44:35,789 --> 00:44:39,789
あんな若造の言いなりになって
いいんですかい！

579
00:44:41,461 --> 00:44:44,131
確かに 春日は出過ぎたやつじゃが➡

580
00:44:44,131 --> 00:44:48,802
普請についての知恵技量にかけては
わしらは足元にも及ばぬ｡

581
00:44:48,802 --> 00:44:52,502
今は あやつの言うとおりに
するしかないのじゃ｡

582
00:44:54,674 --> 00:44:59,146
もう時がないんじゃ…！

583
00:44:59,146 --> 00:45:03,483
分かってくれ…｡

584
00:45:03,483 --> 00:45:06,483
誠に すまぬ…｡

585
00:45:11,358 --> 00:45:15,495
何度来ても 答えは同じじゃ｡
帰られよ｡

586
00:45:15,495 --> 00:45:20,167
今から普請を見直すとなると
また時がかかってしまいます｡

587
00:45:20,167 --> 00:45:23,503
神田上水の水を
心待ちにしている民たちに➡

588
00:45:23,503 --> 00:45:26,173
苦しい思いを強いることになってしまう｡

589
00:45:26,173 --> 00:45:29,509
わしの知ったことではない｡

590
00:45:29,509 --> 00:45:32,112
お主の務めであろう｡

591
00:45:32,112 --> 00:45:35,449
ご当家は➡

592
00:45:35,449 --> 00:45:40,749
大久保長安様とも
お親しいようで｡

593
00:45:42,322 --> 00:45:44,791
ですが ここは➡

594
00:45:44,791 --> 00:45:49,463
太平の世の暮らしを
確かなものとするために➡

595
00:45:49,463 --> 00:45:54,334
どうか… どうか賢明な ご判断を！

596
00:45:54,334 --> 00:45:56,803
ふんっ！

597
00:45:56,803 --> 00:45:58,738
お待ちくだされ！

598
00:45:58,738 --> 00:46:02,142
どうか… どうか お力添えを！

599
00:46:02,142 --> 00:46:05,842
無礼でござろう！
旦那様！

600
00:46:07,481 --> 00:46:09,781
ああっ！

601
00:46:21,828 --> 00:46:24,731
(絹)父上のせいです｡

602
00:46:24,731 --> 00:46:27,167
昔っから そう｡

603
00:46:27,167 --> 00:46:31,771
水のことになると
何も見えなくなってしまう｡➡

604
00:46:31,771 --> 00:46:37,110
でも 何のために
そのお役目をなさってるのですか？

605
00:46:37,110 --> 00:46:42,410
ご忠義のため？ 町の人々のため？

606
00:46:45,785 --> 00:46:50,457
新しい上水が なくてはならぬことは
分かります｡

607
00:46:50,457 --> 00:46:57,457
でも そのために 一番近くにいる
母上や安兵衛に つらい思いをさせて！

608
00:47:01,468 --> 00:47:08,468
所詮 父上は 自分の手柄が
欲しいだけなんじゃないんですか？

609
00:47:11,144 --> 00:47:14,481
(絹)二度と戦で上げることのできない
手柄を➡

610
00:47:14,481 --> 00:47:19,152
水を引くことで
代わりに手にしようとされてるのでは？

611
00:47:19,152 --> 00:47:21,152
(足音)

612
00:47:23,823 --> 00:47:25,759
藤五郎様｡➡

613
00:47:25,759 --> 00:47:28,495
申し訳ござりませぬ！

614
00:47:28,495 --> 00:47:31,164
いかがしたのじゃ？

615
00:47:31,164 --> 00:47:36,436
当てにしていた職人たちを
集められなくなりました｡

616
00:47:36,436 --> 00:47:39,105
さようか…｡

617
00:47:39,105 --> 00:47:41,775
急なことじゃ 致し方あるまい｡

618
00:47:41,775 --> 00:47:44,475
私のせいなのです！

619
00:47:49,649 --> 00:47:53,787
頼ろうとしていた職人衆の中に➡

620
00:47:53,787 --> 00:47:58,124
以前 私が暇を出した者の
身内がおりました｡

621
00:47:58,124 --> 00:48:02,462
仲間内でも顔が利くらしく➡

622
00:48:02,462 --> 00:48:09,762
私が関わっているかぎり
この江戸で力を貸す職人はいないと！

623
00:48:12,138 --> 00:48:16,476
この私が
誰よりも足を引っ張ってしまった！

624
00:48:16,476 --> 00:48:18,812
これ以上
このお役目を続けるわけにはいきませぬ｡

625
00:48:18,812 --> 00:48:21,481
待て｡

626
00:48:21,481 --> 00:48:27,821
この普請は
そなたの力がなくてはならぬ！

627
00:48:27,821 --> 00:48:33,821
普請の成就を… 祈っております｡

628
00:48:37,097 --> 00:48:39,766
御免｡

629
00:48:39,766 --> 00:48:42,466
おい…｡

630
00:48:49,776 --> 00:48:53,776
よう 待ってたぜ｡

631
00:49:07,794 --> 00:49:13,133
普請のやり方… 教えてください！

632
00:49:13,133 --> 00:49:16,833
俺にも お願いします！

633
00:49:18,471 --> 00:49:22,342
あんたが こいつらを
振り捨てようとしても➡

634
00:49:22,342 --> 00:49:27,480
こいつらは あんたを振り捨てねえってよ｡

635
00:49:27,480 --> 00:49:37,757
♬～

636
00:49:37,757 --> 00:49:41,094
何じゃ 見せたいものとは？

637
00:49:41,094 --> 00:49:44,094
(伊可)行けば分かります｡

638
00:49:45,965 --> 00:49:50,770
その ひしゃくも
随分と年季が入りましたこと｡

639
00:49:50,770 --> 00:49:54,641
ああ｡ 今思えば➡

640
00:49:54,641 --> 00:49:58,445
あの時が 最初で最後であったな｡

641
00:49:58,445 --> 00:50:04,784
お絹が わしの仕事を喜んでくれたのは｡

642
00:50:04,784 --> 00:50:10,657
口では何と言っても
あの子は ちゃんと分かってくれてますよ｡

643
00:50:10,657 --> 00:50:13,357
ならば よいが…｡

644
00:50:16,796 --> 00:50:19,466
あれでございます｡

645
00:50:19,466 --> 00:50:33,012
♬～

646
00:50:33,012 --> 00:50:35,815
そこは違います！ そちらの中へ！

647
00:50:35,815 --> 00:50:40,487
あっ これですか？
ああ そこです そこです｡

648
00:50:40,487 --> 00:50:44,487
よし 上げるぞ！ よいしょ～！
よいしょ～！

649
00:50:47,160 --> 00:50:49,496
あ～ 六次郎殿！

650
00:50:49,496 --> 00:50:52,399
ああ？

651
00:50:52,399 --> 00:50:54,367
もっと丁寧に｡
やってるよ｡

652
00:50:54,367 --> 00:50:56,369
いや もっと もっと｡

653
00:50:56,369 --> 00:51:00,140
そこが うまくいかないと
全てが駄目になります｡

654
00:51:00,140 --> 00:51:02,842
脅かすなよ｡

655
00:51:02,842 --> 00:51:07,142
大丈夫です｡ 必ず出来ますから｡

656
00:51:08,715 --> 00:51:15,422
随分と諦めの悪そうな人たちだこと｡

657
00:51:15,422 --> 00:51:19,392
あなたに そっくり｡

658
00:51:19,392 --> 00:51:21,861
伊可｡

659
00:51:21,861 --> 00:51:24,764
明日 握り飯を用意してくれ｡

660
00:51:24,764 --> 00:51:27,464
少し遠出をしてくる｡

661
00:51:42,148 --> 00:51:44,083
お断りいたす｡

662
00:51:44,083 --> 00:51:48,822
20人 いや10人でも構わぬ…｡

663
00:51:48,822 --> 00:51:52,692
伊奈殿の育てられた職人衆を
貸してくだされ｡

664
00:51:52,692 --> 00:51:56,162
こちらとしても
人手を割くわけにはいかぬのだ｡

665
00:51:56,162 --> 00:52:00,462
聞けぬ相談だ お引き取り願おう｡

666
00:52:02,836 --> 00:52:09,175
長安殿に…
そうせよと言い含められたのですか？

667
00:52:09,175 --> 00:52:11,110
そうだと言ったら どうする？

668
00:52:11,110 --> 00:52:14,514
どうもいたしませぬ｡

669
00:52:14,514 --> 00:52:17,417
たとえ 長安殿が何を言おうと➡

670
00:52:17,417 --> 00:52:21,855
伊奈殿は その言葉に
惑わされるような お方ではない｡

671
00:52:21,855 --> 00:52:24,524
私は そう信じまする｡

672
00:52:24,524 --> 00:52:26,860
なぜ そう言い切れる？

673
00:52:26,860 --> 00:52:30,530
貴殿とは これまで
２～３度 顔を合わせたのみ｡

674
00:52:30,530 --> 00:52:34,801
一方 長安殿とは 同じ代官頭という間柄➡

675
00:52:34,801 --> 00:52:37,470
上様の前で何度も会っておるのだぞ｡

676
00:52:37,470 --> 00:52:45,144
人が人を信じられるかどうかは
会った数で決まるものではございませぬ｡

677
00:52:45,144 --> 00:52:49,482
では 何によって決まるのじゃ？

678
00:52:49,482 --> 00:52:56,782
共に同じ志を持ち
同じ苦難を乗り越えてきたかどうかです｡

679
00:52:59,826 --> 00:53:04,497
まだ荒野そのものだった江戸を➡

680
00:53:04,497 --> 00:53:08,167
いつの日か 日ノ本一にすると誓って➡

681
00:53:08,167 --> 00:53:11,867
今も戦い続けている｡

682
00:53:13,840 --> 00:53:19,840
私は あなたを同志だと思っておりまする｡

683
00:53:21,714 --> 00:53:28,414
もし どうあっても
人を お貸しいただけないというなら…｡

684
00:53:32,325 --> 00:53:36,796
この私を 配下に お加えください｡

685
00:53:36,796 --> 00:53:41,467
江戸の上水普請を あなた様に託しまする｡

686
00:53:41,467 --> 00:53:45,138
さすれば 伊奈様ご自身のお役目として➡

687
00:53:45,138 --> 00:53:49,008
誰はばかることなく
人を割くこともできましょう｡

688
00:53:49,008 --> 00:53:51,811
本気で申しておるのか…｡

689
00:53:51,811 --> 00:53:54,147
それでは これまでの幾年月を➡

690
00:53:54,147 --> 00:53:57,050
江戸の水のためにささげてきた
お主は どうなる？

691
00:53:57,050 --> 00:54:02,021
それで 江戸の民が
清き水で潤うのであれば➡

692
00:54:02,021 --> 00:54:05,491
わしのことなど小さきこと｡

693
00:54:05,491 --> 00:54:09,829
まあ どうせ
上様にも見限られておる身じゃ｡

694
00:54:09,829 --> 00:54:11,764
上様から？
はい｡

695
00:54:11,764 --> 00:54:14,701
既に代わりの普請役を
２人も よこされました｡

696
00:54:14,701 --> 00:54:19,172
ですから 私に気兼ねなどいりませぬ｡

697
00:54:19,172 --> 00:54:27,872
このような身ではありますが
伊奈様の下 精いっぱい尽くす所存！

698
00:54:30,783 --> 00:54:34,083
本当に それでよいのか？

699
00:54:49,802 --> 00:54:52,802
飲んでみてくだされ｡

700
00:55:10,823 --> 00:55:13,823
これは うまい｡

701
00:55:17,163 --> 00:55:23,163
この水を 江戸の人々にも
飲ませてやりたいのです｡

702
00:55:26,172 --> 00:55:31,778
どうか 力をお貸しください｡

703
00:55:31,778 --> 00:55:34,478
伊奈殿！

704
00:55:37,450 --> 00:55:42,321
次の川普請は ひとつき後じゃ｡

705
00:55:42,321 --> 00:55:47,126
それまででよいなら
うちで最も腕の立つ職人衆100人➡

706
00:55:47,126 --> 00:55:52,465
ことごとく連れていくがよい｡

707
00:55:52,465 --> 00:55:55,802
それは…｡

708
00:55:55,802 --> 00:56:00,473
そなたのような面倒くさいやつを
配下になどしとうない｡

709
00:56:00,473 --> 00:56:03,773
さっさと戻って 務めに励まれよ｡

710
00:56:08,147 --> 00:56:12,018
ありがとうございます！

711
00:56:12,018 --> 00:56:17,156
主水殿｡

712
00:56:17,156 --> 00:56:20,827
水もいいが…➡

713
00:56:20,827 --> 00:56:25,698
次は酒が飲みたいものだな｡

714
00:56:25,698 --> 00:56:30,169
はい｡

715
00:56:30,169 --> 00:56:34,469
いつの日か 必ず｡

716
00:56:38,978 --> 00:56:45,118
すみません
奥様に こんなことをさせちまって｡

717
00:56:45,118 --> 00:56:48,988
何を言いますか｡
夫のせいで こんな目に遭ったのです｡

718
00:56:48,988 --> 00:56:52,988
私が看病せねば バチが当たる｡

719
00:56:55,128 --> 00:57:00,466
本当に すまぬことをしました｡

720
00:57:00,466 --> 00:57:05,338
でも 夫のことは
どうか恨まずにいておくれ｡

721
00:57:05,338 --> 00:57:08,808
ああ 恨むだなんて とんでもない｡

722
00:57:08,808 --> 00:57:12,478
その逆です｡

723
00:57:12,478 --> 00:57:16,349
以前 お話し申しましたよね｡

724
00:57:16,349 --> 00:57:24,824
私は 子どもの頃に
身内を みんな はやり病で亡くしたこと｡

725
00:57:24,824 --> 00:57:27,160
ええ｡

726
00:57:27,160 --> 00:57:33,160
その はやり病は
汚い水を飲んだせいです｡

727
00:57:35,434 --> 00:57:39,305
でも 旦那様のお供をして➡

728
00:57:39,305 --> 00:57:42,775
上水の仕事を
お手伝いするようになって➡

729
00:57:42,775 --> 00:57:46,646
ある時 町の人に言われたんです｡

730
00:57:46,646 --> 00:57:54,787
旦那様が水を引いたおかげで
疫病が はやらなくなったって｡➡

731
00:57:54,787 --> 00:58:00,487
やっと 身内の無念を
晴らせた気がしました｡

732
00:58:02,662 --> 00:58:09,335
旦那様と一緒に ゆっくりと歩めた私は➡

733
00:58:09,335 --> 00:58:13,035
果報者でございました｡

734
00:58:16,075 --> 00:58:19,375
ありがとう 安兵衛｡

735
00:58:28,487 --> 00:58:33,092
<数日後 伊奈の大勢の普請方が加わり➡

736
00:58:33,092 --> 00:58:38,092
上水工事は 急速に進んでいった>

737
00:58:41,767 --> 00:58:47,467
皆さん お握り作ってきましたから
遠慮なく どうぞ｡

738
00:58:54,113 --> 00:58:56,813
う～ん！

739
00:58:59,452 --> 00:59:01,387
うまっ｡

740
00:59:01,387 --> 00:59:04,087
ホホホッ うまい｡

741
00:59:14,000 --> 00:59:17,300
お役目 頑張ってください｡

742
00:59:25,144 --> 00:59:27,813
ありがとう｡

743
00:59:27,813 --> 01:00:07,787
♬～

744
01:00:07,787 --> 01:00:11,657
まさか 伊奈殿ともあろう お人が➡

745
01:00:11,657 --> 01:00:17,129
あのような者に力添えするとは
落胆いたしました｡➡

746
01:00:17,129 --> 01:00:21,801
あなたは私の同志だと思っていたが｡

747
01:00:21,801 --> 01:00:27,673
まあ いくら人を集めたところで
所詮は急場しのぎ｡

748
01:00:27,673 --> 01:00:31,673
うまくいくと よろしいが｡

749
01:00:38,351 --> 01:00:44,056
<工事は ５年の歳月を経て
完成のめどが立ち➡

750
01:00:44,056 --> 01:00:48,027
はるか七井の池から
25キロメートルの水路に➡

751
01:00:48,027 --> 01:00:53,499
水を流す試験を行うこととなった>

752
01:00:53,499 --> 01:00:56,836
いよいよじゃな｡
はい｡

753
01:00:56,836 --> 01:01:01,536
まことに出るのか…｡
出ます｡

754
01:01:04,176 --> 01:01:07,847
どうか うまくいきますように｡➡

755
01:01:07,847 --> 01:01:11,547
誰も けがなどしませんように｡

756
01:01:25,197 --> 01:01:28,534
やった… ついに…➡

757
01:01:28,534 --> 01:01:31,437
ついに やった！
(六次郎)出おった！

758
01:01:31,437 --> 01:01:38,144
(歓声)

759
01:01:38,144 --> 01:01:42,815
おらが村から はるばる
よう来た！ よう来た！

760
01:01:42,815 --> 01:01:46,152
早く くみましょう！

761
01:01:46,152 --> 01:01:59,498
♬～

762
01:01:59,498 --> 01:02:05,171
間違いない！ この味じゃ！
七井の池の水じゃ！

763
01:02:05,171 --> 01:02:07,840
うまい…｡

764
01:02:07,840 --> 01:02:10,509
やりましたね とうとう｡

765
01:02:10,509 --> 01:02:17,183
２人のおかげじゃ｡
２人とも 本当に…｡

766
01:02:17,183 --> 01:02:24,883
(大きな物音)

767
01:02:33,132 --> 01:02:35,832
(六次郎)何じゃ これは！

768
01:02:46,479 --> 01:02:49,381
しっかりせえ！

769
01:02:49,381 --> 01:02:52,381
何が起きたか考えるんじゃ！

770
01:02:56,822 --> 01:03:00,493
すぐに 目白の堰を止めろ！
(３人)はい！

771
01:03:00,493 --> 01:03:03,162
急げ！

772
01:03:03,162 --> 01:03:05,831
水流が強すぎたんだ｡➡

773
01:03:05,831 --> 01:03:08,734
これは… しくじった｡

774
01:03:08,734 --> 01:03:11,734
(六次郎)なんてこった…｡

775
01:03:14,507 --> 01:03:17,409
うっ… うっ…｡

776
01:03:17,409 --> 01:03:20,846
クククク…｡

777
01:03:20,846 --> 01:03:29,522
(笑い声)

778
01:03:29,522 --> 01:03:32,791
こいつは 派手に しくじったもんじゃ！

779
01:03:32,791 --> 01:03:35,461
ハハハ！

780
01:03:35,461 --> 01:03:39,461
大しくじりじゃ！

781
01:03:41,333 --> 01:03:46,472
元気を出さんか！
誰もしたことのない大仕事なのだ｡

782
01:03:46,472 --> 01:03:49,808
しくじりは 許される｡

783
01:03:49,808 --> 01:03:54,480
これは よい しくじりじゃ｡

784
01:03:54,480 --> 01:03:56,815
そうじゃの｡

785
01:03:56,815 --> 01:04:01,487
そうですよね｡
次こそは 必ず成功させましょう｡

786
01:04:01,487 --> 01:04:05,357
ねえ 藤五郎様｡

787
01:04:05,357 --> 01:04:10,357
これを お主に受け取ってもらいたい｡

788
01:04:12,131 --> 01:04:14,500
わしは 無理じゃ｡

789
01:04:14,500 --> 01:04:17,836
この問題を片づけるには
明日 あさってというわけにはいかない｡

790
01:04:17,836 --> 01:04:21,507
相応の年月を要するだろう｡

791
01:04:21,507 --> 01:04:26,178
わしは ここで討ち死にじゃ！

792
01:04:26,178 --> 01:04:29,081
ハハハハハ！

793
01:04:29,081 --> 01:04:39,458
♬～

794
01:04:39,458 --> 01:04:45,130
あとは お主たちに託す｡

795
01:04:45,130 --> 01:04:48,467
何言ってるんだ｡
そうですよ｡

796
01:04:48,467 --> 01:04:53,138
藤五郎様がいなければ
誰が職人たちをまとめるんですか｡

797
01:04:53,138 --> 01:04:59,478
今のお主なら大丈夫じゃ｡
もう何も心配しとらん｡

798
01:04:59,478 --> 01:05:07,353
六次郎 お主には さんざん
腹の立つことばかりであったが➡

799
01:05:07,353 --> 01:05:11,053
おかげで 気張ることができたわ｡

800
01:05:12,825 --> 01:05:15,728
楽しかったの｡

801
01:05:15,728 --> 01:05:19,028
お主で よかった｡

802
01:05:20,699 --> 01:05:26,839
ああ… 今日の水は格別であった｡

803
01:05:26,839 --> 01:05:34,647
江戸中の人々に
いつか必ず飲ませてやってくれ｡

804
01:05:34,647 --> 01:06:23,647
♬～

805
01:06:25,831 --> 01:06:28,734
これじゃ これじゃ｡

806
01:06:28,734 --> 01:06:32,438
久々よのう そなたの菓子も｡

807
01:06:32,438 --> 01:06:36,308
申し訳ございませぬ！

808
01:06:36,308 --> 01:06:42,448
拙者 ふらちにも
ご心中を疑っておりました！

809
01:06:42,448 --> 01:06:44,383
何じゃ いきなり｡

810
01:06:44,383 --> 01:06:47,319
六次郎と春日を
この仕事へ遣わされた時➡

811
01:06:47,319 --> 01:06:54,793
もはや拙者は 見限られたのだと思い
殿のことを恨みました｡

812
01:06:54,793 --> 01:07:02,668
しかし
そうではないと 今なら 分かり申す｡

813
01:07:02,668 --> 01:07:08,340
殿は ずっと先の江戸を見ておられた｡

814
01:07:08,340 --> 01:07:12,811
だからこそ あの２人を 私に…｡

815
01:07:12,811 --> 01:07:19,151
人一人が 一生のうちにできることなど
たかが知れておる｡

816
01:07:19,151 --> 01:07:24,823
それは 征夷大将軍とて同じことじゃ｡

817
01:07:24,823 --> 01:07:28,494
志は 受け継いでゆかねばならぬ｡

818
01:07:28,494 --> 01:07:33,766
それが正しいかどうかなど
わしにも分からぬ｡

819
01:07:33,766 --> 01:07:40,639
100年先 200年先の者に
聞くしかあるまい｡

820
01:07:40,639 --> 01:07:45,110
戦のない世であればいいがのう｡

821
01:07:45,110 --> 01:07:51,784
わしは そう信じて
この江戸を建てるのじゃ｡

822
01:07:51,784 --> 01:07:57,122
上様の思い描く江戸の一片を
作ることができたのだとしたら➡

823
01:07:57,122 --> 01:08:02,995
この藤五郎
これほどの幸せはござりません｡

824
01:08:02,995 --> 01:08:19,812
♬～

825
01:08:19,812 --> 01:08:22,714
うまい｡

826
01:08:22,714 --> 01:08:26,685
菓子を食うたのは久々じゃ｡

827
01:08:26,685 --> 01:08:32,758
お前らにだけ つらい思いを
させるわけにはいかんからの｡

828
01:08:32,758 --> 01:08:38,096
あの時以来
菓子は食わぬと決めておった｡

829
01:08:38,096 --> 01:08:42,768
まあ 願かけのようなものじゃ｡

830
01:08:42,768 --> 01:08:46,104
いつかまた お主と こうして➡

831
01:08:46,104 --> 01:08:51,404
菓子を食える日が来ることを
待ち望んでいた｡

832
01:08:53,445 --> 01:09:00,745
殿…｡
わしは生涯 お主の菓子しか食わぬぞ｡

833
01:09:05,057 --> 01:09:07,993
藤五郎よ｡

834
01:09:07,993 --> 01:09:12,130
わしが 命を救ってもらった負い目で➡

835
01:09:12,130 --> 01:09:16,468
お主に大役を与えたと
思うておるのかもしれぬが➡

836
01:09:16,468 --> 01:09:19,137
それは大きな間違いじゃ｡

837
01:09:19,137 --> 01:09:24,810
お主には 新しい道を切り開く力がある｡

838
01:09:24,810 --> 01:09:28,480
この菓子が そうじゃ｡

839
01:09:28,480 --> 01:09:31,383
お主ならば 必ずや➡

840
01:09:31,383 --> 01:09:36,755
江戸の扉を開いてくれると信じておった｡

841
01:09:36,755 --> 01:09:39,658
大久保藤五郎｡

842
01:09:39,658 --> 01:09:44,630
いや 主水｡

843
01:09:44,630 --> 01:09:51,770
長きにわたる役目 大儀であった｡

844
01:09:51,770 --> 01:10:04,770
♬～

845
01:10:15,460 --> 01:10:19,798
さんざん時と銭をかけたあげく
しくじった由｡

846
01:10:19,798 --> 01:10:26,471
伊奈殿も分かっておらんなあ｡
力を貸す相手を間違えたようじゃ｡

847
01:10:26,471 --> 01:10:30,342
心配せずとも あとは私が引き受けた｡

848
01:10:30,342 --> 01:10:34,346
そなたは のんびりと
菓子でも作っておれ｡

849
01:10:34,346 --> 01:10:38,817
分かってないのは 長安殿の方じゃ｡

850
01:10:38,817 --> 01:10:45,691
あなたには 我々には見えている景色は
見えますまい｡

851
01:10:45,691 --> 01:10:49,991
わしの後を継ぐ者は
既に決まっております｡

852
01:10:51,830 --> 01:10:58,704
もしも今後
力で脅かすようなことがあらば…➡

853
01:10:58,704 --> 01:11:03,004
わしは あなた様と刺し違える所存｡

854
01:11:04,843 --> 01:11:11,183
隠居寸前の菓子司に
怖いものなどありませぬぞ｡

855
01:11:11,183 --> 01:11:24,196
♬～

856
01:11:24,196 --> 01:11:31,803
<この後 藤五郎が
水道事業に関わることはなかった>

857
01:11:31,803 --> 01:11:34,139
お帰りなさいませ｡

858
01:11:34,139 --> 01:11:39,478
お勤め
まことに ご苦労さまでございました｡

859
01:11:39,478 --> 01:11:45,150
<徳川幕府菓子司として
常に家康に付き従い➡

860
01:11:45,150 --> 01:11:49,021
生涯 菓子を作り続けた>

861
01:11:49,021 --> 01:11:59,698
♬～

862
01:11:59,698 --> 01:12:02,698
(六次郎)藤五郎殿｡

863
01:12:05,470 --> 01:12:08,170
藤五郎様｡

864
01:12:09,841 --> 01:12:13,178
ついに完成しましたよ｡

865
01:12:13,178 --> 01:12:18,850
この水を 今や 多くの江戸の人々が➡

866
01:12:18,850 --> 01:12:21,753
口にしております｡

867
01:12:21,753 --> 01:12:24,723
♬～

868
01:12:24,723 --> 01:13:06,832
♬～

869
01:13:06,832 --> 01:13:09,735
この江戸の金子作りは お主に任せたい｡

870
01:13:09,735 --> 01:13:15,035
しっかりと励むがええ｡
後藤家の大判作りをな｡

871
01:13:17,476 --> 01:13:19,845
もういっぺん 機会を頂きとうございます｡

872
01:13:19,845 --> 01:13:22,180
もしも 太閤が先に小判を出したら
それまでじゃ｡

873
01:13:22,180 --> 01:13:24,116
やるからには 一刻の猶予もならぬ｡

874
01:13:24,116 --> 01:13:26,816
これは 戦じゃ｡

875
01:15:32,777 --> 01:15:34,713
それは 見たいわ！

876
01:15:34,713 --> 01:15:38,149
今年も きたきた やってきた！
年に１度の テレビについて➡

877
01:15:38,149 --> 01:15:40,485
好き勝手 話す番組で
ございますよ！

878
01:15:40,485 --> 01:15:43,822
ぞりゃぞりゃと 私 拳を➡

879
01:15:43,822 --> 01:15:46,157
拳を突き出してございます｡

880
01:15:46,157 --> 01:15:52,157
その先に止まる鳥の
美しさたるや！ 美しさたるや！

881
01:15:54,833 --> 01:15:57,833
これって 夢の箱だから…

